あなたを想い続けて私は猫になった1章

私たちは誓い合いました
永遠の愛を。

1章
私はあの夜、猫になった

「運命の出逢い」

2人の出逢いは
美鈴(みすず)が始めた

ブログからだった。
時々コメントをくれる
和磨(かずま)という男性がいた。
優しい彼とのやり取りに癒されて
次第に美鈴の心の中で
和磨が気になる存在になっていた。

そして和磨からも美鈴への想いを
伝えてくるようになった。
その度に胸が高鳴り和磨への
想いが強くなった。
しかし美鈴には迷いがあった。

「告白」

美鈴「愛してるよ」

和磨「わかってる」

美鈴「和磨は?」

和磨「んーっと」

美鈴「・・・」

和磨「愛してるー!」

美鈴「もーっじらさないのw」

メールでのやり取り
こんな会話に幸せを感じていたが
和磨とはまだ会った事がない。
電話番号を聞いていたが
美鈴は教えてなかった。
迷っていた。

美鈴は和磨とは一回りも年上なのだ
それを知ったら遠ざかって
しまうかもしれない。
その気がかりが
和磨からの愛のアプローチを
つらいものとさせていた。

このまま…恋愛ごっこで
終わるのがいいよね。
でも…

美鈴の心は和磨への想いで
いっぱいになっていた。
自分でも驚くほどに
和磨の存在が大きくなっていた。

傷が深くならないうちに
和磨に真実を話そう。
美鈴は和磨に電話をした。

美鈴「もしもし…」
(今日フラれるんだ)

和磨「もしもし…あ!」

彼の優しい声が聴こえる。
胸を締め付ける。切ない。
緊張を抑えきれない。

美鈴「初めまして。かな」

和磨「電話…待ってたよ」

嬉しくてこみ上げる
溢れる想いを悟られないように
たわいもない話をした。
楽しい。

でもこれが最後…

和磨「僕は美鈴にメールで
告白したんだけどいつも話し
はぐらかされてダメなのかな。
って思ってた」

美鈴(彼のほうから
きっかけを作ってくれた

すぐに言葉は出なかった。
どれだけの時間が経過しただろう
思い出が思い出になってしまう。
次の時間を迎える恐怖。
美鈴は覚悟を決め閉ざしたままの
口を開く。

美鈴「あのね…実は言わなくては
ならないことがあるの」

和磨「ん?」

美鈴「私は…あなたより
ずっと歳上なんだ。
隠していたわけじゃないのよ…」

和磨「いくつなの?」

美鈴「…4、41」

和磨「そうなんだ…」

ふたたび時間が止まる

沈黙…

和磨「もう…
好きになっちゃったから」

2人の時間が始まる。

「プロポーズ」

和磨の言葉に抑えていた
感情がはじける。

和磨「もしもし?」

和磨が心配する。

美鈴は振り絞るような涙声で

「ありがとう」

一言を言うのが精一杯だった。
全ての想いを乗せた一言。

和磨も想いが抑えきれない。

和磨「今すぐにでも会いたい」

美鈴「私も…」

和磨「週末会いに行くね」

美鈴「うん」

翌週の土曜日
今日は和磨が来る。
期待と不安。
ガッカリされたらどうしよう。
美鈴は小柄で細面の美人というより
可愛い容姿だ。
実年齢より若く見られる。
駅まで車で迎えに行った。
あの電車だな…
急行も止まる駅だから人通りも多い
車から降りる。
緊張が駆け巡り身体が揺れる。

メールの着信、携帯を見た。

「着いたよ」

ゆっくりこちらに歩いてくる
青年が視界に入る。
俯き加減なのでよくわからない。
写真では見ていたけどわからないな
青年が長髪の髪をかきあげた。
照れ臭そうな顔を見て確信した。

青年は私の前で止まった。
会いに来てくれた

美鈴「和磨…初めまして」

和磨「初めまして、かな?」

満面の笑みを美鈴に送ってきた。
全ての不安が姿を消す。

美鈴と和磨は車に乗り込む。

和磨「会いたかった」

そう言うと和磨は美鈴を抱きしめる

この人と歩んでいくんだ。

遅めの昼食を取りながら
会話が弾む。
初対面とは思えない
緊張もなく自然な会話。
食事を終え、少しドライブをした。
和磨はずっと美鈴の手を握っていた

美鈴「危ないよー」

楽しい時間は、あっという間に
別れの時間に変わる
仕事で休みが取れず今日中に
帰らないとならない
和磨は寂しそうな顔をした。

美鈴「またね…」

和磨「また来るね」

車のドアを開けた。

美鈴(!!)

和磨は美鈴をグッと引き寄せ
キスをした。

この人と歩んでいくんだ。

それから、仕事のスケジュールの
隙間に入り込むように和磨は
高速バスと電車を乗り継ぎ
週に1度は美鈴に会いにきた。
そして愛を深めた。
彼の若さに翻弄された。

もう、少しの時間も離れたくない…

翌年のホワイトデーに
和磨から指輪が贈られた。

和磨「美鈴、愛してる。
僕が守るから…結婚してください」

「事情」

美鈴は涙で和磨の顔が霞む。
嬉しかった。でも…
美鈴はすぐに返事ができなかった。

和磨「今すぐとは言わないよ。
美鈴の事情はわかっているつもり
そしてね…。それを放り出して
僕の元へ来る美鈴だとしたら
プロポーズはしてないよ」

美鈴の事情。

病弱な母と家には寄り付かない父。
どうしようもない人…。
和磨は一緒に来てもらっていいから
僕が支えるからと言ってくれたが
若い彼には荷が重すぎる。
今の収入だけでは生活が厳しくなる
のをわかった上での
彼の優しさに心が痛む。

だからと言ってこのままでいたら
和磨と一緒になることが
出来なくなってしまう。
もう少し若かったら何も考えずに
和磨の胸に飛び込めたのに。
若さが羨ましい。

私は先におばあちゃんになっちゃう
彼は彼のままでいてくれるだろうか

美鈴の涙に優しくキスをした。

もう泣かないで。

夏休みになり和磨のいる大阪に行く
和磨が仕事に向かうのを見送り
帰宅を待つ。
幸せな時。

和磨「このままここにいてくれたら
いいのに」

そう言ってはいたが…
友達に私は紹介もされなかった。

(歳の差を気にしているのよね…)

和磨もまた実年齢より若く見える。
近所の高校生からプレゼントを
もらっているらしい。
大人の女性にも誘惑されたとか
美鈴に聞かせる。

美鈴「結構モテるんだね」

美鈴は冷静さを装って和磨に言う。

和磨「妬いてくれてますか?」

美鈴「や、妬いてないわ」

刻の流れる音がざわめきを覚える。

「胸騒ぎ」

和磨は仕事が忙しくなったようで
かなり疲れた様子がメールや
声からも伝わってきた。

美鈴「近くだったらお世話して
あげられるのに…ごめんね」

和磨「うん。大丈夫だよ。
なかなかメール出来なくてごめんね
いつも美鈴のこと想っているからね
距離じゃない、そばにいるよ」

和磨も頑張っているんだから
私も頑張らなくちゃ。

美鈴が勤務しているのは
エステティックサロンで
店長として責任も大きくなった。

和磨にメールで報告したら

「よかったね。頑張れ!」

と返事がきた。

ずっとメールの数も減ってきたけど
見ててくれてるんだな。
モチベーションがあがる。

よしっ!頑張るぞ。

それからはお互い仕事に夢中で
メールすることも電話で話すことも
ほとんどなくなってきた。

刻のざわめく声がこだまする。

繋がっているから大丈夫だよね。

携帯画面を見てため息をつく。

お彼岸に具合の悪い母は留守番で
父親と叔母家族でお墓参りに
行くことになり久しぶりに
和磨にメールをした。

「そっか…気をつけてね」

すぐ返事来た。嬉しかった。
その後だった和磨からの
電話着歴に気づいたのは。

美鈴は電話をかけたが出ない。

何度か掛け直してみたが出ない。
今日は仕事が休みなはずなのに。

携帯の調子が悪くて電話が
すぐ切れて応答しないみたい。
先日知人からそれを言われていた
携帯を修理してもらわなくちゃ。
と思っていたが忙しさで忘れていた
和磨には伝えていたと思うのだが。
また、夜にでも電話してみよう。

その日から
和磨からの連絡が途絶える。

刻のざわめきが怒り始める。

「恋人」

キッチンで夕食の支度をしていると
リビングから「恋人」いう楽曲が
流れてきた。
まるで2人のことを
和磨との思い出がそのまま
歌われているようで…
抑えていた想いが溢れてしまい
涙が止めどなく流れ出た。
嗚咽しそうになるのをリビングに
いる親に聞こえないように堪えた。

床にたどり着いた涙が
心のメロディを奏でる。

連絡が取れなくなって
カレンダーがめくられる。

心配と不安がつのる。

悲しみより怒りのような
感情も湧いてきた。

まさか事故に…病気したんじゃ…

母が入院した時も
美鈴が体調崩して病院に行った時に
メールしても全く返事がなかった。

1人になれる通勤帰りの車の中
入浴の時、ベッドの中で

涙を流す日々

和磨。いったいどうしたの?
何があったの?私は…
もうあなたに愛されていないの?
待ってていいの?
待ってはいけないの?
何も言ってくれないのは苦しいよ。

孤独が涙を連れて美鈴を包み込む。

日が経つにつれて美鈴の体に
異変がノックしてやってくる。

昼夜問わず突然呼吸がきつくなる。

和磨、苦しいよ…助けて…

「黒猫」

あー。かなり遅くなっちゃった。
お惣菜買って行こうかな。
これとこれで…なんとかなるか

和磨…ちゃんと食べているかな。

また息が苦しくなってきた。

情けないな。美鈴、笑顔笑顔。

そう自分に言い聞かせる。

もうすぐ自宅、その時だった。

「あ!」

1匹の黒猫が
美鈴の運転する車の前に飛び出した

ブレーキを踏んだ

1章 完

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